業務用ソフトの共通化へ



自動車の制御とか、携帯のアプリとか、ゲームとかの基本システムを共通化して、コストダウンして、競争力を高めましょうということらしい。

共通化ってのはどのレベルのことを言っているのだろうか? OSってこと?

自動車のエンジンやオートマや姿勢制御を担当するシステムは、テスト&データ収集に大変なコストがかかっている、各企業独自の企業秘密であり、共通化してしまうと他社に盗まれやすくなるから、むしろ共通化など避けてブラックボックスにしておきたい部分だろう。万一、自動車の基本ソフトが日中共通になった場合、トヨタが1兆円かけて作った制御システムが、中国の自動車メーカーにごっそり違法コピーされるかも知れない。

カーナビの基本システムは、既に大部分がLinuxベースで共通化しており、開発はCかJavaが多いと聞いている。どれもほとんどフリーで使える基本システムと開発言語で、世界的に実績があるものなので、既に十分基盤は共通化されているので、これをさらに共通化するということは、何を共通化しろと言っているのだろうか。ライブラリも共通化しろと言うのか?

ケータイのアプリ開発も、大体はJavaでやってる。だから開発環境は割りと共通している。

ゲームは各メーカーバラバラだが、ハードの構成がそれぞれ個性的なゲームコンソールでは、それぞれのハードの特長を活かすために、独自の基本システムを持つ方が当然なので、共通化しましょうなんて考え方の方がヘンだ。

HDDレコーダーとかのIT家電は、Linuxベースが主流。HDDレコーダーのHDDを取り出して、PCで読み込もうとしても上手くいかないのは、PCがWindowsで、HDDレコーダーがLinuxであるという部分に起因するところが大きい。

(まあそれ以外にも色々独自フォーマットの壁はあるが)


経済産業省は、何をもって共通化というつもりなのだろうか。共通化した場合のメリット、デメリットを十分に議論しつくしているのだろうか。

もちろん、一般人に数倍する知識・知能をもつ官僚さまが、共通化した場合のデメリットに気が付かないはずはない。

共通化したら、今までの基盤で積み上げて来たものを、わざわざ共通基盤ように作りかえなければならないというコストが発生する。

共通化すると、データやアプリケーションのパーツがコピーされやすくなる。

共通化すると、それぞれのハードに最適化されたシステムではなくなるから、システムは動きが重くて、かつサイズ的にかさばるものになる。

共通化したら、多分マイクロソフトだかその他のアメリカ企業のOSを導入せざるを得ないだろうから、そのライセンス料金の分のコストがかかるし、マイクロソフトが作りこんだバグやらセキュリティホールの対応に追われることになる。
そして、実現したい機能があるが、それがハードの仕様に強く依存しているものであった場合、OSのレベルで機能追加が必要になる場合もあるが、マイクロソフトがそれに即時対応してくれるかどうかはかなり怪しい(大金を払えばまた別かも知れないが)。


なんかこの話、経済産業省の言っている理屈はかなりおかしい。企業の競争力のためでもなく、日本のIT企業を儲けさせるためでもなさそうに思える。

しかし、もし工業製品の基本システムを全て共通化できるなら、それは戦争とかで、挙国一致体制で、規格化された兵器を大量生産するつもりなら、大変有効な手段だ。もし、日本を戦争できる国にするつもりなら、国家が主導で、コスト的に不利でも、システムの共通化を計るのは理に適っていることだ。

第二次世界大戦当時、ただでさえ元から圧倒的な生産力を持っているアメリカは、部品の規格化、兵器の標準化を強く意識していて、大量生産しやすい体制を作っており、圧倒的な物量作戦を行うのに大いに役立った。

一方の日本は、ゼロ戦の三菱と、隼の中島飛行機とでは部品の共通化がされておらず、陸軍と海軍とでは、同じ20mm砲弾でも規格が違っていて、使い回しができないなど、てんでバラバラだった。

旧軍の陸軍と海軍は、そもそもの成り立ちが、陸軍は薩長連合中心で構成、海軍は陸軍を輸送するためのおまけだから中核の薩長ではなく他藩出身者で構成という生い立ちがあるので、明治の頃からお互い仲が悪くて、協力し合う体制になってなかった。

そんな体制なのに、アメリカとやるまでは負けなしだったというのは、非常に運が良かったか、一般人が知らない本当の勝因があったのだろう。なにせ大日本帝国は、対白人国家との戦争で、アメリカ以外に負けたことがないのだから、これはアジアの国としては異例中の異例だろう。



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